決着 / ディック・フランシス

早川書房 1994年刊 定価 2000円 (現在文庫版有)

ご存知“ディック・フランシス”の“決着”です。
彼の著作の中では最高とはいえないけれど、主人公が建築士なので‥‥。

主人公は‘リー・モリス’35歳 妻一人、子供6人有。
ストラットン・パーク競馬場の株主総会に出席したために、ストラットン一族の遺産相続争いに巻き込まれ、命まで狙われてしまうというサスペンス?ちがうな、冒険小説です。

で気になるのは、彼の職業。
彼の仕事は廃屋を探して(イギリス中の)買い取り、自分の頭で考え、自分の身体を使って改修し、転売すること。
家族とともにその廃屋(又はキャンピング用に改造した大型バス)に住み、数ヶ月あるいは数年過ごし、 快適な建物になったころ、別の廃屋に引っ越すという流浪の生活。
憧れちゃうな。この本を読んだ時、俺の目指す仕事はこれだっ!って思ったもの。

文中の一説。主人公のリーがある廃屋を見つけたときのシーン。
“ほとんど一目で、その中に何が建てられるかわかった。
まるで長年頭の中を計画が漂っていて日の目を見るのを待っているかのような感じだった。
子供たちの家になる。何も私自身の子供たちに限らず、誰の子供でもいい。
かつての自分のような子供。 数多くの部屋、思いがけない所、隠れ場所がある家だ。”
どう?最高でしょ!
設計を生業としている貴方、こんな経験あるよね。 頭の中に空間のイメージがフルカラーでしかもディテールまではっきりと浮かんでくる瞬間!

作者のフランシスはイギリス人。元障害競馬のチャンピオンジョッキー。
引退後 年一作のペースで競馬を題材にした小説を書いています。
現在まで40作が翻訳されていて、本書はその33作目。
当たり外れの少ない作家なので、はまれば、しばらく(又は一生)楽しめるよ。

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