志水辰夫の十五少年漂流記 / J・ベルヌ 原作  志水辰夫 訳

講談社 定価1,200円+税

誰もが一度は読んでいる冒険小説の古典です。
15歳を筆頭に15人の少年が帆船で漂流。無人島に流れ着きます。
2年間の冒険?生活の末、無事に帰還するというご存知の内容です。
私も小学生の時に読んで、主人公ブリアンの正義感と勇敢さに憧れ、ライバル、ドノヴァンの高慢さに腹をたて、バクスターのアイディアに 舌を巻いた覚えがあります。

当時はハラハラ・ドキドキしていただけですが、改めて読んで感じたことは、“すごい少年たちだな!”ってこと。

筏をつくり、(5m×10mものサイズだよ)洞窟に住居?をさだめ、ドアや窓を取り付け、ベッド・テーブル・ストーブを運び込み、快適な空間をつくってしまう。
猟銃を使って狩をし、魚をつり、自給自足生活をさも簡単そうにこなしてしまう。
(冬季間は零下30度まで下がるような土地で)
そのうえ、上級生は下級生に勉強を教え、週2回の討論会では科学・歴史などの話題をとりあげる。
(なんとストイックな生き方!)
ナイフ1本でジャガーに立ち向かい、ピストル持って凶悪犯と銃撃戦までこなしてしまう。

まさしくワンダーボーイズ!
フィクションということを差し引いても、140年前の少年たちは自給できる技術力を持っていたのだろうか?
このくらいのことは当たり前にこなせたのだろうか?
自分を含めた現代人はあまりにも軟弱・ひ弱になってしまっているのか‥‥。
などとしみじみ考えてしまいました。

原書ではどうかわからないのですが、
小学校高学年であれば十分理解できる子供向け?の内容です。
それではなぜ、今回は“十五少年漂流記”なのか?
答えは簡単。訳者が志水辰夫だから!
志水辰夫は1981年‘飢えて狼’で鮮烈デビュー。
読者をぐいぐいひっぱる物語性の強さと“志水節”と呼ばれる詩情豊かな文体で独自の地位を占める小説家です。
(平文に直すと、興味のある人には圧倒的支持を得るが
一般の人(特に女性)にはほとんど知られていない?‥‥そんな作家です。)

デビュー2作目“裂けて海峡”のラスト3行を紹介します。

天に星。
地に憎悪。
南溟。八月。わたしの死。

どうです!この志水節!あなたもはまってみてください。

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