日本の不思議な宿 / 巌谷 國士

中公文庫 定価838円+税

“不思議” という言葉に弱い。
自分の知らない事・想像もしていないような事に興味がある。
“宿”という言葉にも弱い。
非日常の空間と時間をいつでも(お金さえ払えば)提供してくれる。

だから書店でこの本の背表紙を見つけたときは、思わずクラッときてしまった。
雑誌‘太陽’に連載された、エッセーの文庫版。
北は礼文島-プチホテル・コリンシアンから、南は石垣島-民宿石垣島まで24の宿が紹介されています。
この本のいいところは、有名どころの宿ばかりが載っているんではないところ。
(そういうのはガイドブックにゆずっておいて。)
地名は知っているんだけれど宿名まではちょっと…という宿、由緒正しい宿・正しくない?宿・歴史のある宿・新しい宿…
とにかく不思議で素敵な宿と街が紹介されています。

その中で自分が泊まってみたい1軒はというと、やはり礼文島の‘プチホテル・コリンシアン’
「ギリシアコリント建築でそれはアメリカ南部の大邸宅を思わせる外観」の「最北の高級リゾートホテル」で、客室は白木の箪笥に鏡に花瓶に花、椅子にはぬいぐるみの熊、そして天井には帆立貝をかたどった照明…と ここまで読んで腰が引けてしまった人もいるんだろうが、あに図らんや、めしがすごい!
大盛り「生ウニ」にはじまり、「石鰈と牡丹海老の造り」・「ツブの水貝」・ 「鰍のともあえ」・「蛸のあえもの」・「飛竜頭の山芋かけ」・「ウニの茶碗蒸」・「焼きズワイ蟹」・「柳の舞の唐揚」・「石鰈のアラ汁」・「香の物」・「夕張メロン」まで

どうですこのこの料理。いかにも北海道らしい豪快な海の幸オンパレード!
建物の内・外観と料理のギャップ!いつか泊まってみたい宿です。

正統派には奈良ホテル、食事であれば鶴来の和田屋、温泉ならば登別の第一滝本館、そして絶対に宿泊不可能!明治村の帝国ホテルまで24軒の不思議な宿が勢ぞろい。
今日のように降続く雨の日、ページを開いて旅に出ませんか。
お薦めです。

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